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日本の学校や身近な人々から学んだこと
チロンボ・ンゴイ
日本に暮らし教鞭をとることは、どちらも心躍る、学ぶところの多い経験です。すばらしい体験です。学校で子供たちは新しい知識を得ることができ、若い心を育むことができるので、私は学校が大好きです。日本の子どもたちはとても幸せです。学校が基本的に無料なのですから。日本のこどもたちは、一生懸命働いて支えてくれるご両親に感謝しなければなりません。日本人は、子どもたちが難の心配もなく暮らせる、平和で安全で豊かな国を築き上げました。私の国、コンゴ民主共和国には、学校はほとんど無く、あっても粗末で小さなものです。教室は混み合っています。学校が家から離れていたり、授業料がとても高いので、大多数のコンゴの子供たちは授業を受けることができません。戦争や飢饉のために学校に行けないときもあります。
掃除の時間です!
私はコンゴ民主共和国で生まれ、コンゴとベルギーで育ちました。日本に来る前は、アメリカに10年住んでいました。アメリカでは、用務員さんが学校を掃除して下さいます。アメリカやベルギーやコンゴでは、生徒は掃除をしなくてよいのです。
日本の生徒が教室やトイレや廊下、校庭などを掃除するのを見て、最初はとても驚きました。班ごとに文句も言わずにどんな天気でも、冬の凍てつく寒い日でも、毎日掃除をします。そして、仕事と自己評価をずっと記録しています。すべては、誰も見ていなくても正しい行いをするという日本人の美徳に基づいています。私はそれでもしばらくの間、掃除の教育的効果はどんなものだろうと考えていました。そして今は、日本の子供たちが、美意識や規則、忍耐、責任感、リーダーシップ、他者への思いやり、チームワークの大切さを学ぶために、掃除は効果的な方法だと理解しました。この学校では、先生方も、校長先生も掃除に参加します。アメリカの公立校は、落書きや散らかったゴミで、汚れて見苦しいことがよくあります。アメリカの生徒は、ゴミをあちこちに捨てます。掃除をしなくてもいいので、気にもならないのです。アメリカの用務員さんは、不作法な生徒の代わりにゴミを片付けるのです。アメリカの子供たちは、公益というものの真価を分かっていません。アメリカ社会に個人主義や度を越した競争や暴力が蔓延しているのは、おそらくそのようなわけなのでしょう。
この学校では、生徒たちが何もかもきれいに整然とさせるので、うれしく思っています。昼休みや掃除の時間には、生徒たちにたくさん話しかけています。この時間は、生徒にとっても私と英語の練習ができる良い機会です。会話を交わすのは、楽しく興味深いことです。
身の回りの人々から学ぶこと
外国の文化を学ぶには、その国の人に話しかけて知り合いになるのが、一番良い方法です。日本人は仕事好きで、大変な働き者として知られています。他の国々では、ここまで働かずに、趣味や旅行、余暇を家族や友人と楽しく過ごすことに時間を費やします。
私は最近、新しい部屋に引っ越しました。近所に知り合いはあまりいません。夕方にだいたいいつも散歩をするのですが、そんな時、お店の人や犬の散歩中の人、スーパーからの買い物帰りの人などに話しかけたりします。日本人は比較的シャイなので、私からまず挨拶したり、天気の話題を出したりします。とりわけ楽しいのは鈴木さんと話すことです。鈴木さんは奥さんと、小さな焼き鳥屋を営んでいます。二人は71歳です。私はたいてい、鳥かレバーを注文します。鈴木さんは品物を包みながら、楽しげに彼の人生について語ってくれます。鈴木夫妻は、同じ場所で50年間働いていらっしゃいます。同じ場所で同じ仕事を50年もされてきているのです!長い休みをとったことはないそうです。農家の人でもないのに、どうしたらそのようなことが飽きずにできるのだろうと思いました。
若い頃、私は多くの友人達と同様に、たくさんの国を旅行して回り、人生において色々なことをしたいと夢見ていました。54カ国を回り、色々な仕事に就いてきました。それとは対照的に、鈴木さんは同じこの町に住み続け、仕事も変えていません。彼も幸福です。健康的でエネルギッシュで、いつも快活な雰囲気を絶やしません。私はその理由を知りたくてたまりませんでした。鈴木さんは英語は中学校以来だそうですが、私と英語でコミュニケーションを取ろうとして下さいます。その店に立ち寄るたびに、鈴木さんの語彙が少しずつ増えているのが分かります。NHKのラジオで英語の番組を聞き始めたからだとおっしゃっていました。鈴木さんは千葉県出身です。奥様のヨシコさんは埼玉県のこの町の出身です。お二人は、東京の職業学校で訓練中に知り合ったそうです。その時二人とも19歳で、一目ぼれだったそうです。卒業後、彼は決意して千葉での生活をあきらめ、ヨシコさんとともに埼玉にやってきました。お二人は小さな焼き鳥屋を開き、1DKの小さなアパートを借りました。当時、この町は孤立した農村地帯だったので、最初はとても大変だったそうです。幹線道路も電車の駅もありませんでした。お客はほとんどなく、もうけもほとんどでない。でも今では、店から歩いて2分のところに素敵なお宅を構え、50年前に始めた小さな店の隣に、大きな肉屋を最近開店させました。奥様のヨシコさんは、小さな店の隣の肉屋で働き、ご主人は50年間そうしてきたように、焼き鳥を焼いています。ヨシコさんは日に何度かご主人の方へ来て、手伝ったりおしゃべりしたりしています。二人はまるでティーンエイジャーのように話したりふざけたりしているので、見ていてほほえましく思います。幸せの秘訣がどこにあるのか、どうしてお二人が引っ越したり外国旅行したりしないのか聞いてみました。鈴木さんがおっしゃるには、毎日いろいろな人に出会える二人のお店で、おしゃべりしたり働いたりするのが楽しいのだそうです。生活や職業や経験が様々な客との会話を楽しむことを通して世界を見聞きすることができる、とのことでした。日々、7歳から100歳まで、様々な年齢層の人々とのやりとりを楽しまれています。お店はとても流行っています。駅が近くにできてからは、たくさんのサラリーマンや若いカップルが会社帰りに立ち寄り、自家製のタレにつけた焼き鳥や、串焼きビーフを買っていきます。
鈴木さんの人生の歩みをお聞きして、幸福は人それぞれで、結果がどうであろうと、自分の夢を信じ、そのために努力をすれば、幸福になれるのだと気付きました。他の誰かと夢を分かち合えば、もっと幸せになれます。鈴木さんは奥様をご覧になって笑いながら片目をつむり、こうおっしゃいました。「ホントの幸せを支えてるのは、ホントの愛だよ。」ヨシコさんもこれにうなづきましたが、少し言い方を変えて、こうおっしゃいました。「ホントの幸せはホントの友愛が作るんですよ。」
お二人は、素敵なご夫婦になる前は親友でした。このことで、私は自分の亡き父を親友のように思っていたことに思い至りました。私と父は、親子というよりもむしろ友人同士のようでした。
鈴木さんは、日本で幸せになってうまく生きる秘訣は、根気よく一生懸命働いて、辛抱して、我慢して、周りと仲良くやって、前向きでいることだと教えてくれました。
私は、生徒の皆さんに、人生の大事な教訓に気付いてもらえたら、と思います。「困難に不平を唱えずに全力を尽くし、夢を絶対あきらめないこと。前向きであれ。」一人で幸せになるのは楽しくないし、値打ちもありません。幸福は分かち合わなくては。友達や家族との素敵な思い出のように、どんなに小さくても、達成する喜びが幸せを生むのです。BE
HAPPY!!!
(訳 : 高橋 広恵)
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